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創業者・豊島弁護士が掲げたのは、卓越したリーガルサービスと、メンバーが安心して成長できる場づくり。昨秋、代表を継いだ佐野弁護士とともに、「自律的に成長するエクセレントファーム」の現在地を語り合います。

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代表パートナー

佐野  俊介

Shunsuke Sano

創業パートナー

豊島  國史

Kunifumi Toyoshima

すべてのメンバーをハッピーに

――どのような「理想の法律事務所」を目指したのですか?

豊島:事務所を立ち上げた時、まず掲げたのは「クライアントに卓越したリーガルサービスを届ける」という至極当たり前の旗でした。ただ、それはどこの法律事務所でも掲げていますし、私がどこかの法律事務所に所属していて達成はできます。それだけでなく、本当に一から作りたかったのは、もう一つの柱――メンバーをハッピーにすること。すべてのメンバーが安心して働き、成長し、人生として報われる場を用意することでした。

佐野:個人やパートナーだけのものではなく、経験やリソースを丸ごと含めた有機体としての「組織」を育てる。そのために、出る杭を叩く空気ではなく、出る杭が次々に生まれる空気を作る。創業時の理想は、そこに集約されるのではないかと思います。

豊島:おっしゃる通りです。「出る杭」を促すのだから「成長」も大きな柱です。そういう組織を一から作らなければならないという思いから、新しく事務所を設立したわけです。そして「我々が作ろうとしているものはこういうものだ」と概念的に説明するためには、事務所の考え方をきちんと言語化する必要がある。というのは、言語化した考え方を所内で共有した上で、皆が実践していくことで理想に近づくというプロセスを経るのではないかと思うからです。そんな考えから、パーパスやミッションを言語化する作業は、今でもパートナー同士の合宿などで時間を取って議論し続けており、事務所として相当なエネルギーを投入しています。

佐野:そうした過程でいくつも出てきたワードの中に、「自律的に成長するエクセレントファーム」という表現がありました。当事務所が掲げる「成長」に大きく関わる言葉です。メンバーそれぞれが自律し、自立する。事務所としてはあまりメンバーそれぞれを拘束しないことが前提となっていますが、メンバーが関心をもって注力している分野があれば積極的に背中を押しています。その上で、事務所としての一体感を保つエクセレントファームを目指しています。

豊島:自由闊達ではあるけれど、それぞれが勝手気ままにやっているわけではない。それぞれに自律が求められ、その先には成長があるわけですから、そのようなメンバーが組むことで強力なチームになる。一見矛盾しているように思えるかもしれませんが、それを統合して高い次元で実現することが私たちの挑戦なのだと思います。そして、この挑戦が成功しつつあることの証は、今や少なからぬメンバーが示してくれています。

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――設立時の理念は、どんな形として具現化されていますか?

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佐野:理念は仕組みにも落とし込まれています。たとえば事務所の規範をイントラネットで全員が見られる形にしている点。所内のルールも代表一人の思いつきでは変えられず、パートナー会議における過半数の賛成が必要です。「人」ではなく「組織」に紐づいています。

豊島:設立当初から重視している「情報の透明性」も同じ発想で、個人売上や報酬は別として事務所全体の数字や経費の使途まで確認できる。非常に民主化された仕組みではないかと思います。

佐野:これだけ透明性があると、パートナーに総額で入っている金額も明らかになっているわけで、一般的には所内には開示しない情報だと思います。ただ、隠してしまうとメンバーそれぞれも自律的に事務所に関与するという事務所の方針に反してしまいますから。

豊島:会議体とチームを大事にしている点も挙げておきます。若手は若手組、事務局は事務局チームなどを作り、予算も付与して、自律的な活動を促している。このような仕組みを随所に組み込んでいるから、メンバーそれぞれも自律的に動こうとするし、動けてもいる。

佐野:運用の肝にしていることは、その時々の判断で例外を増やさないことです。メンバー全員が原則を共有し、必要があれば所定の会議体で議論して更新する。そうやって属人化を減らし、次の世代へ引き継げる形にしていることは、事務所の良き伝統として守っていきたいと考えています。

代表弁護士交代の背景と変化

――佐野弁護士に代表が交代した理由は?

豊島:一つはリーダーの適性です。あえて言えば、私はアイデアマンで推進力はある。一方、決めた方向が急に変わることもある(笑)。おそらく私は混乱期をグイグイ進めて乗り切る「有事の人」。安定成長期の舵取りは、佐野弁護士のほうが明らかに合っている。これが理由の一つです。もう一つは、創業者がずっと代表だと「組織を作る」という理念が浸透しないのではないかと考えたからです。また、世代交代が起きること自体をメッセージにする狙いもありました。加えて、私個人としても、ずっと経営をするのではなく、弁護士業務や事務所の育成に関することに専念したかった。代表は事務所全体に目を配る必要があるし、いろいろとやることも多い。その負担を軽くしてもらって、空いた時間のほとんどを育成にかけられるようになったので、対外的活動や、育成に関する若手向け勉強会の資料づくりやコーチングなどに、まとまった時間を使えるようになりました。

佐野:現状、法律事務所の多くは「個人商店である弁護士の集まり」か「強烈なリーダー+フォロワー」という形態を取っており、組織的な継続性に乏しいところが多いのではないかと考えています。我々は、組織としてこの事務所を作った以上、我々の世代で終わりではなくて、次へ繋いでいかなければならないという問題意識が常にあります。そのため、今回の代表交代も特別大きなイベントではなく、成長サイクルの一部です。クライアントにもメンバーにも、「この事務所は特定の人に依存しない」と伝えることが重要でした。

――代表交代での変化は?

豊島:組織の連続性を保ちつつ、若手にも「自分たちも主役である」と思えるようになってきたのではないかと思っています。これが、組織としての一体性とメンバーそれぞれが自律し自立するという我々の狙いなのです。これで「豊島の事務所」ではなく「私たちの事務所」だという感覚が所内で一層高まったと思いますし、今後ますます自主性や自律性が上がっていくのではないでしょうか。

佐野:当然、私もずっと代表に留まるつもりはなく、いずれはより若い弁護士に引き継いでもらう。豊島弁護士が育成に注力するのと同様、私も次の「やりたいこと」に向かっていく。そんなサイクルが回るといいですね。

AI時代に、むしろ求められるもの

――時代の変化に伴い、取り入れたことは?

佐野:問題が起きて、法的に分析して、解決策を提案する。弁護士の仕事のこの本質的部分は変わっていません。ただ、その前段の下ごしらえ、特にリサーチの手法は私が弁護士を始めた20年近く前と比べて隔世の感があります。当事務所では、2025年に入ってから豊島弁護士自らがAIの外部セミナーに参加したりAI関係の企業とのコラボレーションを模索したりし始め、弁護士業務におけるAI活用の検討を始め、またAIを活用したリサーチツールも積極的に導入しています。ただし、プロフェッショナルとして仕事をする以上、AIが示した情報をそのまま使うようなことはなく、データベース等で原典を確認する作業が必須です。そうした使い方を前提に、AIをどう使えばより良く、しかも問題なく回るのかを、チームを作って継続的に検討しています。

 

豊島:一方で、AI時代にはAIに代替できない弁護士のスキルがより重要になってくると考えています。そのため、たとえば元アナウンサーの方に定期的に事務所に来ていただき、事務所の弁護士全員を対象として、さまざまな場面での話し方や立ち居振る舞いの研修を受けています。AIで効率化できる領域が広がるほど、人が人に語りかけた時の説得力や「場を動かす力」が、むしろ価値になる。生まれもったものか、後天的に身につくものか——そこも含めて学び、AI時代に必要な人間らしさを磨く必要があると思っています。

佐野:「最近取り入れた」ものではありませんが、依頼者様からは、問題が起きてから対処するのではなく、そもそも起きないように先回りしたいという相談がより一層増えています。以前から当事務所が力を入れて取り組んできた予防法務の考えですが、特にここのところ予防法務を成長への戦略投資と考える依頼者様が増えていることを実感しています。

――事務所を成長させることの難しさと面白さとは?

豊島:事務所を育てるのは子どもを育てるのに似ています。自分一人でやる仕事なら結果も読みやすい。でも組織は他人同士の集合なので、思った通りにはならない。その分、期待していなかった伸びや発想が出てくる。そこが難しさであり面白さでしょう。

佐野:人数が増え、個性も多彩になったことで「読みやすさ」は減りました。微に入り細に入りといったコントロールをしない事務所ですので、メンバーが自由に動けば想定外も起きます。一方で、組織として分担できる幅もまた大きく広がっています。テーマでチームを作り、役割を切り分けられる。それぞれがパフォーマンスを出してくれれば、レバレッジが効いて上振れを狙える面白さが出てくるのではないかと期待しています。

豊島:難しいのは成長の痛みを受け止めることです。人が増えると、価値観も仕事のやり方も揃わない。そこで理念とルールに立ち返り、議論し、また前に進む。その繰り返し自体もまた、面白さです。

1日レンガ1個でも積めるかどうか

――当事務所が考える「一流の弁護士」の定義は?

豊島:かつては困難な訴訟で勝訴したり画期的な判決を導き出したりすることが一流の弁護士である証ととらえられていたと思います。そのような弁護士が一流であることは今も変わらないと思います。それに加えて、企業法務・予防法務の観点からの一流の弁護士は「軍師であること」だと思っています。経営陣に必要な情報や考え方を提供し、時には直感的な言動を諫め、戦わずして勝つ策を示し、経営の意思決定を支える提言ができるのが理想です。

佐野:私たちは主役ではなく補佐役です。自分が「一流の弁護士」として目立つのではなく、我々のクライアントが安心して前に進める状態を作る。法的に検討し、行く道に石があればどかして道を整え、危ない橋があれば渡らせない。スポットライトはお客様へ、我々はプロとして徹底的に支える——それが一流だと思います。一流のクライアントが社会的使命を果たせるようにする、それが我々の使命であり、事務所の理念として掲げていることです。

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――伸びる若手弁護士に共通する資質とは?

豊島:目指す方向をもちながら、好奇心と謙虚さを失わない人が伸びると思います。弁護士になって最初は、森の中を歩くようで先が見えない。でも「あの方向だ」と見据えて寄り道も学びとして取り込みつつ、愚直にコツコツ積み上げられる人が、気づいた時には成長している。

佐野:危機管理の専門家の言葉で、「悲観的に準備して、楽観的に対処せよ」というものがあります。私はこれをとてもいい言葉だと思っていて、始まる前は最悪まで想像して徹底的に準備し、始まったら腹を括って前に進む。トラブルを解決したり防いだりする仕事ですから、もちろん精神的にきついこともあります。若手弁護士でも、まずはできることを徹底的にやり、あとは「ここまで準備したから大丈夫」と気持ちを切り替える。そういう人は負荷の大きい仕事でも折れにくいし、いろいろな経験を多く積めるため成長も早いのではないかと思います。実際にやるのは大変難しいことですけれど(笑)。

豊島:ともすれば逆になってしまうことが多いですから。結局、1日にレンガ1個でも積めるかどうか、なのではないかと思います。積んだレンガの上にまたレンガを積んでいく、そういう成長の仕方をできるか。最初は小さくても積み上げ、その積み上げたものの上にさらに積み上げ続けるというマインドになれるかどうか。そのような「複利」の成長が、数年後に決定的な差になります。

佐野:豊島弁護士と同じ結論になってしまいますし、ありふれた言葉にはなってしまいますが、やはり地道な努力を継続してできるか否かになるように思います。受験生の皆さんは司法試験を一つのゴールとして日々勉強に励んでいらっしゃると思いますし、もちろんそうなのですが、職業人生で考えると合格は実はスタートラインに過ぎないという悲しい現実があります。合格後のほうがずっと長いのに、受かったことで満足してしまいレンガを積まなくなってしまうと、大変厳しい言い方をすれば、成長はそこで止まってしまうのではないでしょうか。

厳しさと面倒見がワンセット

――若手弁護士の育成施策は?

豊島:弁護士資格は「登山口」に過ぎないのですが、困難に直面すると「弁護士資格を得たんだから、それで食べていけるレベルでいい」と考えて自身の「合格点」を下げてしまう人がいるのもまた現実です。我々はメンバーに対して「自分ができないからといって、クライアントに出す我々の仕事のレベルを下げてはいけない。チームの力を使い、合格点を下げてはいけない」と繰り返し伝えています。自分の力で合格点を出すためにはコツコツとレンガを積み上げるしかないのですが、このマインドチェンジが実はすごく大変です。

佐野:コツコツやるのが当たり前になればいいのですが、やはり行うことは難しいです。そのため、育成は手厚くしています。入所時研修、外部の社会人講座、先輩が週一で教えるチューター勉強会、新人弁護士向けのTYS大学、入所4年目までがメンバーの若手組、コーチング面談などを段階的に制度設計しています。頑張るのが「普通」になり自分で成長を実感できるようになると、自走し始める。メンバーが自走し始めるところまで、組織で押し上げるよう仕組化しています。

豊島:事務局も2年目になれば1年目のチューターを担うなど、事務所全体で新人を支えていますしね。

――若手弁護士に、どのようなチャンスを用意しているか?

佐野若手の人に「何でもやれ」と言うと負荷が大きすぎるケースもあります。ですので、基礎力のために必要な案件は満遍なく経験してもらい、その上で本人が興味のある領域の案件をアサインするよう調整しています。

豊島事務所内にはない機会も作っています。たとえば、企業法務の弁護士といっても会社の方から家事事件や交通事故の相談などもよく受けます。私自身の専門ではないので友人の専門弁護士にお願いしているのですが、その際興味のある若手を一緒に入れてもらうといったこともあります。

佐野我々は労働事件では使用者側に立つことが多いですが、若手に労働者側の事件を経験してもらうこともあります。やはり立場が変われば見え方が変わるわけで、その経験が普段の仕事の質を底上げしているように感じます。

豊島もちろん何でも経験させるのではなく、背伸びの幅を見極める。少し難しい仕事を任せ、必ず振り返りをする。その積み上げで、任される範囲が自然に広がっていきます。

――若手弁護士の教育において、こだわっているポイントは?

佐野教育は手厚くしチャンスも与えられますが、事務所は学校ではありません。クライアントに50点の成果物は出せませんから、できるだけ100点に近づける努力が必要です。現状70点であれば、足りない30点をどう埋めるかを常に考える必要があります。答えを待つのではなく、自分で仮説を立て、先輩に相談し、修正して仕上げるという姿勢を養ってもらうようにしています。

豊島こちらが用意するメニューと、本人のやる気が噛み合って初めて実力が伸びます。合格点を下げない前提で、努力を続けられる人を本気で育てたいです。「お客様の時間と人生を預かっている」という緊張感をもち、妥協の癖をつけないようにする。その代わり、若手がやり切るための支援を惜しまない。厳しさと面倒見はワンセットと考えています。

学び続ける覚悟のある人とともに

――豊島総合法律事務所の未来像は?

佐野:弁護士が自律的に成長し、その成長が組織を強くし、次の世代へ繋がるサイクルを回し続けること。そのために新人採用は継続します。パーパスやミッション、規範、会議体での運用と同じく、採用も事務所が成長を続けるための仕掛けの一つという位置づけです。だから私が代表になったから急に色が変わることはありません。継続性のある事務所として成長したいです。

 

豊島:結果として規模が大きくなることはあっても、人数は目標ではありません。クライアントの期待を超える仕事を積み重ね、メンバーが誇りをもって続けられる状態を更新し続けたいと願っています。

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――どんな学生に来てほしいか?

佐野大学名、成績順位、TOEIC何点といった属性は決め手ではありません。それより、法的思考を取ることができるか、複雑な事実から論点を抜き出せるか、そして日々の努力を粘り強く続けられるかを重視しています。そこができる人は、結果として成績もついてくるのではないかなとも思います。

豊島繰り返しになりますが、司法試験合格はスタートで、ここからが長い。1日1個でもレンガを積み、学び続ける、成長し続ける覚悟がある人に来てほしい。当事務所の考え方に共鳴できるなら、伸びる余地は大きいと思います。勉強でも仕事でも、失敗を言い訳にせず改善に変えられる人。素直に学び、チームの中で伸びることを楽しめる人と一緒に仕事がしたいです。

佐野派手さより、地味な努力ができる人。うまくいかない日でも机に向かい、翌日に繋げられる人は、実務でも必ず伸びます。

――学生だとしたら、当事務所のどこが魅力?

豊島弁護士は個人事業主だし、かつての「ボス弁・イソ弁」の伝統なのか、イソ弁として入所した弁護士が本当になりたい自分になろうとするとそれまで積み上げてきたものを捨ててでも外に出なければならなくなるという場合が多い。それはとても不幸なことだと思っていたし、それが事務所設立の動機でもありました。ですから当事務所では、新入所者であるジュニアアソシエイトがシニアアソシエイト、パートナー、さらには出資パートナーへ進む要件を明文化し、その判断も「ボス弁」などの特定の個人がするのではなく所内の所定の会議体(豊島や代表が参加しない会議体もある)で行うなどの仕組みにしています。将来像が見える事務所だからコツコツやっていけば成長できると確信できる、事務所がメンバーそれぞれに対し組織を挙げて支援してくれる。それが魅力だと思います。

 

佐野「配属ガチャ」や事務所内のグループといったものがなく、目の前の仕事を誠実にこなしていれば前に進めるのが魅力です。弁護士の営業活動は事務所として支援していますが、一方で若いうちから顧客を取れという圧はありません。実力を蓄える期間を確保し、先輩弁護士と一緒に事務所案件の一部を担いながら力をつけられる点は魅力かと思います。

豊島組織にいるからこそ得られる機会も楽しみつつ、個人としての成長もできる。そんな場所にしたいです。

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